今の時期になると思い出す競馬場デート

小学校までは公立でしたが、その後は私立の女子校一直線だった私にとって、大学の友達に誘われて入った合コンで出会ったかつての彼は、今思い出しても、とても新鮮な人でした。何が新鮮かというと、洗練さなどは皆無、年頃の女の子が好む、おしゃれな雰囲気とは程遠い人でしたが、お金がないなりに色々な工夫をして、世間知らずな私を楽しませようとしてくれました。その一つが競馬場デートです。
最近はこの言葉をよく聞きますが、当時はまだ一般的ではなかったと思います。しかも、保守的な家庭で育った私は、競馬はギャンブルというイメージが強く、待ち合わせをしたところで、今日は競馬してみないと言われた時、若干引きました。でも、彼がこういうことを言う時は、何か考えがあるのだろうと思い、いいよ、やってみようと応じました。
いざ競馬場に着いてみると、私が思っていたイメージ(紙くずが目立つようなところで、缶ビール片手に競馬新聞とにらめっこみたいな感じのもの)のものではありませんでした。若い人もいて、それなりに綺麗でした。競走馬も近くで見ることができたのですが、思いのほか大きくて、毛も筋肉も、どこを見てもお手入れが行き届いていている動く芸術品でした。
彼はというと、驚き喜ぶ私を横で見ながら、嬉しそうでした。馬券をそれぞれ1枚ずつ買って、レースを見ました。私が選んだ馬は駄目でしたが、彼が選んだ馬は1等になりました。すると、彼はちょっと待っていて言って、どこかに行き、勝ち分からと行ってソフトクリームを買ってきてくれました。本当に、ただそれだけのデートです。でも、楽しかったし、幸せでした。
その後、私たちは別れました。原因は私にあります。若かった私は、彼が計画してくれる温かなデートよりも、友達がしているおしゃれでスマートなデートに憧れるようになり、彼と別れました。何というお馬鹿さんかと思いますが、当時のお馬鹿さんな私がいるから、今の私がいるとも思っています。
素敵なデートをありがとう。この時期になると、いつも心からそう思います。

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